会社を守る就業規則 ポイント⑤ 家族手当、住宅手当等について
家族手当、住宅手当、通勤手当等は、就業規則に支給基準を明確に記載する
労働トラブルの1つに残業代の不払いがあります。
実際に残業をしたにもかかわらず、残業代を支払わ
ないのは、明らかな法律違反となりますので、これに
関しては、トラブル防止とは全く別の次元の話しとな
ってしまいます。
しかし、残業代の不払いは、経営者の方の誤った解釈により発生する場合もあります。
その1つが、
家族手当や住宅手当、通勤手当といった、いわゆる残業代を計算する
場合に、支給総額から控除することができる手当に対しての誤った解釈
です。
通常、残業代を計算する際には、基本給以外に支払われた各手当も
含めた総支給額を基に計算されるのですが、
労働基準法では、
家族手当 住宅手当 子女教育手当 通勤手当
については、残業代を計算する際に、支給総額から控除することがで
きるとされて
います。
これらの手当が控除されれば、結果的に残業代を計算する際の単価
が下がります。
ただ、ここで注意しなければならないのは、名称が「家族手当」「住宅手
当」「通勤手当」等であれば、どのような場合でも控除できるわけではあ
りません。
例えば、
家族手当の場合でしたら、家族の数によって支給額
を決めるとか、
住宅手当の場合は、家賃や住宅ローン残高に応じて
手当の額を定めるなど、
支給する手当の額に根拠が必要となってきます。
つまり、例えば、家族手当の場合、名称は「家族手当」とされていても、
家族数等を考慮されず、従業員に対して一律に支給されている場合
や、「通勤手当」でしたら、通勤距離や手段等を考慮されずに一律に
支給されている場合には、残業代を計算する際に、支給総額から控
除できなくなってしまいます。
それにも関わらず、
「家族手当で支給さえすれば、残業代を計算する際に、総支給額から
控除できる」と誤った解釈をしてしまうと、
結果的に残業代の不払いが生じてしまうこととなります。
ですから、就業規則を作成する場合に、もし、家族手当や住宅手当、
通勤手当等の手当を支給する場合には、
それぞれの手当の支給基準をしっかりと記載
しておくことが非常に重要となってきます。
◆会社を守る就業規則 他のポイントはこちら
>>会社を守る就業規則 ポイント② 適用される従業員の区分を明確にする
>>会社を守る就業規則 ポイント③ 服務規程について
>>会社を守る就業規則 ポイント④ 慶弔休暇について
>>会社を守る就業規則 ポイント⑥ 就業規則の周知について
>>会社を守る就業規則 ポイント⑦ 懲戒解雇規定について