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Q111 通勤災害が交通事故の場合なのに自賠責保険が使えない・・・?-2-

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【質問】

a0035_000023_m「先日、当社従業員が、通勤中に交通事故を起こしてしまいました。当従業員方が、過失が大きい事故のようですが、従業員本人も負傷してしまいました。交通事故ですが、相手方からは、労災保険で対応して欲しい、と言われました。確かに、通勤中の事故ですので、通勤災害に該当するかと思いますが、通勤災害が交通事故でも、労災保険を使うことができるのですか?」

【回答】

「通勤災害が交通事故であっても、労災保険を使うことはできます。ただし、自賠責保険との関係を考える必要があります。」

【解説】

a0006_001084_m次に、実際に事故が起きた場合の、自賠責保険の請求について、具体的にお話したいと思います。

仮に、停止中の車両の運転手をAとし、Aが、自動車保険に加入している保険会社をM社とします。

そして、追突した車両の運転手をBとし、Bが、自動車保険に加入している保険会社をS社とします。

先にご説明しましたように、A、B双方が怪我をしているわけですから、Aの怪我については、自賠責保険上は、Aが被害者で、Bが加害者となります。

しかし、Bも怪我を負っているわけですから、たとえ、過失割合が100%であっても、Bの怪我については、自賠責保険上は、Bが被害者で、Aが加害者となるわけです。

 

 

つまり、Aは、Bの自賠責保険から補償を受け、Bは、Aの自賠責保険から補償を受けることとなります。

そして、実際の手続きについてですが、過失割合が少ないAが、Bの自賠責保険に対する補償手続きは、過失割割合が多いBが、加入しているS社が行ってくれます。

これは、実際にBの方が、過失割合が多いのため、Bが一般的に言う「加害者」に当たるため、加害者側の保険会社が、一般的に言う「被害者」に当たるAのために、手続きを行うこととなります。

では、BのAに対しての自賠責保険のへの請求手続きを、Aが自動車保険に加入している、M社は行うのでしょうか?

過失割合から考えた場合、Bは、加害者に当たるため、被害者であるAの保険会社であるM社が、加害者であるBのために自賠責保険の請求手続きを行ってあげるということはしないのです。

ただ、これまでもお話ししてきましたように、自賠責保険は、被害者(単に怪我を負ったという意味の被害者です)保護が目的であるため、Bは、Aの自賠責保険から補償を受ける権利はあります。

 

 

では、Bが自動車保険に加入しているS社は、Bのために自賠責保険の請求手続きを行うのでしょうか?

実は、保険会社は、自社の自動車保険に加入している契約者のために自賠責保険の請求を代行することはないのです。

保険会社は、自社の契約者が事故を起こし、相手方の過失が少ない場合に、相手方のために自賠責保険の請求の代行を行うのみなんです。

ですから、過失割合が多いBについては、相手方の保険会社M社もB自身が、加入しているS社も、Bのために自賠責保険の請求代行行うことはないのです。

となると、結局、Bが、Aの自賠責保険から請求を受けたい場合には、B自身でAの自賠責保険へ請求を行わなければならないのです。

 

 

となると、現実問題として、Bが、Aの自賠責保険へ請求することは非常に困難となります。

B自身が、自賠責保険の請求業務に関して素人であることに加え、先に書きましたように、一般的な意味での「被害者」である、Aの感情的な問題があります。

法律上は、BはAの自賠責保険から補償を受ける権利があると言っても、Aからしてみれば、「何故、自分の保険を加害者のために使わなければならないのか?」という許容できない感情を抱いてしまいます。

もちろん、本来は、Aがそのような感情を持つこと自体が、法律的に考えれば、間違っていることかもしれないのですが、それをAに説明する人がいないのです。

先に書いたように、Bのために相手方の保険会社はもちろん、B自身が加入している保険会社もBのために自賠責保険の請求に関して動いてくれることはありません。

となると、Aを説得するのは、B自身が行うこととなってしまいます。

もちろん、Bの代理店が、サービスで行う場合も考えられますが、Aからみて加害者側であるB又はその代理店が、いくら説明しても、Aが、納得することは、まず考えにくいと言えます。

さらに、ここで話しがこじれれば、後の示談交渉に影響が出ることも考えられます。

 

 

となると、Bは、Aの自賠責保険から補償を受ける権利があると言っても、現実的には、非常に困難と言えます。

となれば、労災保険を先行して補償を受けざる得なくなります。

先に書いたように、通勤災害が、交通事故であっても、労災保険を使うか、自賠責保険を使うかは被災者の自由です。

しかし、現実には、被災者の自由にならないこともあります。

ですから、通勤災害が交通事故の場合、負傷した従業員が、どのような状況に置かれているかで、労災保険を使うべきか、自賠責保険を使うかを冷静に判断する必要があるのです。

せっかくですから、次回、もう1つ事例を上げて、労災保険と自賠責保険との関係をより深めていきたいと思います。

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