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Q21 作成した就業規則に従業員から同意をもらえないのですが・・・?

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【質問】

「先日、就業規則を作成し、労働基準監督署に届出ようとしましたが、従業員の過半数を代表するの者が、内容に不服があり、同意してくれません。どうすればよいでしょうか?」

【回答】

「就業規則を作成し、労働基準監督署に届出る際に添付する書類は、従業員を代表する者の意見書であって、同意書ではありませんので、もし、反対意見であれば、その旨を記載してた書類を添付すれば、問題ありません。」

【解説】

a0002_002278_mご存知のように、従業員数が常時10人以上雇用している事業場では、就業規則を作成し、労働基準監督署に届出ることとなっています。

その際に、従業員の過半数を代表する者の意見書を添付することが定められています。

誤解されている方が多いのですが、この法律が求めているのは、あくまで「意見を聞く」ことであって、「同意や合意を得る」ことではありません。

ですから、たとえ、同意が得られず、反対の意見があったとしても、その旨を意見書に記載して、それを就業規則に添付して届出すれば、労働基準監督署は、何の問題も無く就業規則を受理してくれます。

さらに、反対の意見であっても、就業規則の効力に何の影響も及ぼしません。

ただし、就業規則は、従業員にとっても大切なものでありますので、反対意見があることは、決して好ましいことではありませんので、可能な限り従業員の方も賛同できる内容にしていくことは大切です。

ところで、この従業員の過半数を代表する者の意見書は、就業規則を変更した場合にも添付する必要があります。

実は、就業規則を変更する場合には、少し注意が必要となってきます。

就業規則変更の場合に添付する書類も、あくまで意見書であって、従業員の過半数を代表する者の同意や合意を得られなくても就業規則自体には影響がありません。

ただし、その変更内容が、従業員にとって利益になる内容又は少なくとも不利益にならない内容でしたら全く問題無いのですが、従業員に不利益となる内容の場合、特に賃金に関する不利益変更の場合には、変更自体が無効となってしまう場合があります。

例えば、これまで支給してきた手当を、合理的な理由も無しに一方的に廃止してしまう場合などがあります。

賃金等の従業員にとって重要な労働条件を低下させるような変更は、従業員全員の同意が必要となってきます。

ですから、賃金等を従業員にとって不利益となる変更を行う場合には、変更しなければならに理由をよく説明して、従業員に同意を得てから変更するようにして下さい。
 
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また、就業規則の作成・変更の際の届出において、従業員の過半数を代表する者の選出方法も重要なポイントとなってきます。

労働基準法では、従業員の過半数を代表する者を選出する場合には、従業員全員での話し合いや選挙等の合理的な方法で選出されることを求めています。

従って、経営者が、任意に選んだ者は、合理的な方法で選出された者には該当しないこととなります。

意見書に意見を書いた者が、従業員の過半数を代表する者に該当しないとなると、結果的に、就業規則の届出の要件を満たさないこととなってしまいます。

ですから、従業員の過半数を代表する者は、必ず合理的な方法で選出された者とするように注意して下さい。

ちなみに、従業員の過半数を代表する者は、合理的な方法で選出されていればよく、必ずしも正社員である必要はありません。

パートタイマーやアルバイトといった従業員であっても、選出方法が合理的なものであれば、問題ありません。(ただし、私の知る得る範囲では、助成金については、雇用保険の被保険者であること、といった条件が付けられる場合もありますので、ご注意下さい。)

就業規則は、労働トラブルを防止し、従業員が安心して働くことができる職場環境を作るためには、不可欠なものです。

社会保険労務士 松本 容昌
 
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補足説明:就業規則の不利益変更について

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ここでは、就業規則の不利益な変更について、もう少し詳しくお話したいと思います。

今回、ご説明しましたように就業規則を労働者にとって不利益な条件に変更する場合には、労働者の合意が必要となります。

ところで、就業規則を作成・変更した場合に意見を聞く時には、労働者の過半数を代表する者で良かったのですが、不利益な変更の場合の同意は、

原則、その不利益な変更の対象となる労働者全員との合意が必要となります。

なお、労働者の同意は、あくまでも労働者自身の意思で行うものですので、経営者や上司が、無理やり同意させた場合には、同意自体が無効となってしまうので、ご注意下さい。

ところで、就業規則の不利益な変更を行う場合、必ずしも不利益変更の対象となる労働者全員の同意が得られるとは限りません。

では、利益変更の対象となる労働者全員の同意が得られない場合には、就業規則を変更することはできないのでしょうか?

実は、労働者全員の同意が得られない場合でも、就業規則の不利益変更が認められる場合があります。

労働契約法第10条に「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」とあります。

つまり、就業規則の不利益な変更を行う場合に、会社の経営状況等の理由から、その変更がやむを得ない場合には、労働者の合意が無くても、不利益な変更が認められる、という趣旨です。

ただし、問題となってくるのが、

不利益に変更する就業規則の規定に合理性が有るか無いかの判断基準です。

この点については、最高裁で判例が平成9年2月28日に出されています。

その判例によれは、変更された就業規則の条文に合理性が有るか無いかの判断は、

①就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、
②変更後の就業規則の内容自体の相当性
③代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
④使用者側の変更の必要性の内容・程度
⑤労働組合や労働者代表との交渉の経緯
⑥他の労働組合または他の労働者の対応
⑦同種事項に関する我が国社会における一般状況

これらを考慮して総合的に判断されるべきものとされています。

ですから、就業規則を不利益に変更する場合に、上記に該当すれば、労働者の個別の必要は無いこととなります。

ただし、現実には、合理性の有無の判断には明確な基準が無いので、裁判等で判断を仰ぐ形となります。

就業規則と労働基準法、労働契約との関係

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ここでは、就業規則と労働基準法、労働契約との関係についてご説明したいと思います。

就業規則を作成・変更する場合、労働基準法等の法律と労働契約(雇用契約)との関係を正しく理解する必要があります。

まず、労働基準法等の法律との関係ですが、就業規則の規定が、労働基準法等の基準を満たしていない場合には、

その部分については、無効となり、労働基準法等の基準が適用されることとなります。

つまり、就業規則より労働基準法等の法律の方が優位性があることとなります。

 

例えば、労働基準法では、法定労働時間が定められています。

就業規則で、所定労働時間を法定労働時間を超えた時間に規定しても、その部分は無効となってしまいます。

また、有給休暇の付与日数を、労働基準法で定められた日数より、少なく就業規則に定めたとしても、

労働基準法で定められた付与日数が、労働者の権利として付与されることとなります。

ただ、無効となるのは、あくまで労働基準法等の法律の基準に満たない部分であって、就業規則全体が無効となるわけではありません。

 

次に就業規則と労働契約との関係についてご説明したいと思います。

就業規則と労働契約とでは、就業規則の方が優位性があります。

ですから、就業規則の基準に満たない労働契約は、その部分について無効となります。

例えば、就業規則では、慶弔休暇制度が規定されているにもかかわらず、慶弔休暇制度が無いという労働契約を締結しても、その部分は無効となり、就業規則の基準が適用されます。

従って、慶弔休暇を取得できることとなります。

このように就業規則を作成・変更する場合には、労働基準法等の法律の基準に沿った内容にする必要があります。

また、労働契約を締結する場合には、就業規則の基準を満たす必要があります。

ですから、就業規則では、慶弔休暇や休職制度といった法律的に義務がない事項について安易に規定を定めてしまうと、後で思わぬ負担となってしまう場合が

ありますので注意が必要となってきます。

就業規則の届出義務について

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ここでは、就業規則の届出義務についてご説明したいと思います。

労働基準法では、常時労働者を10人以上雇用している事業場に就業規則の作成義務を課しています。

まずポイントとなってくるのが「常時10人以上」です。これは、常態として、労働者を10人以上雇用していることを言います。

ですから、一時的に労働者の数が、9人以下となることがあっても、普段は、10人以上の労働者を雇用している場合には、常時10人以上に該当します。

逆に通常は、労働者数は9人以下であるが、繁忙期等に一時的に労働者の数が10人以上となっても、常時10人以上には該当しないこととなります。

 

次にポイントとなる言葉が「労働者」です。

「常時10人以上の労働者」と聞けば、多くの経営者の方は、「正社員が10人以上」と思われるかと思います。

しかし、元々、労働基準法では、正社員やパートタイマー、アルバイトといった言葉を使いません。

使われる言葉は、労働者です。

つまり、労働基準法では、正社員もパートタイマー、アルバイトも同じ労働者なのです。

ですから、「常時労働者を10人以上」の労働者には、パートタイマーやアルバイトといった正社員以外の社員も含まれています。

と言うことは、パートタイマーやアルバイトしか雇用していない会社であっても、その数が常時10人以上であれば、就業規則の作成義務が生じることとなります。

これは、就業規則を作成する上で重要なポイントなってくるので、是非、正しくご理解いただければと思います。

さらに、就業規則の作成義務に関しては、もう1つポイントがあります。

それが、「事業場」です。

就業規則は、会社ごとに作成するのではなく、事業場ごとに作成する必要があります。

事業場とは、本社、支社、営業所等の一定の場所で組織的に作業のまとまりのことを言います。

ところで、先程ご説明した、「労働者数が常時10人以上」とこの「事業場」を併せて考えてみますと、それぞれの事業場において、労働者を、常時10人以上雇用している場合に就業規則の作成義務が生じることとなります。

ですから、会社全体では、労働者を常時10人以上雇用していても、本社、支社、営業所等の全ての事業場の労働者数が、常時10人未満であれば、その会社に就業規則が無くても、理論上は法律違反とはならないこととなります。

就業規則と変形労働時間制について

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労働基準法では、労働者に労働させることができる上限時間を定めています。

法定労働時間と言われています。

具体的には、1日8時間、1週間40時間とされています。(ただし、労働者数が、10人未満で一定の業種については、1週間44時間と緩和されています。)

ところで、法定労働時間を考える上で重要となってくるのが休日との関係です。

労働基準法では、労働者に1週間に1日(又は4週間に4日休日)を与えることを規定しています。

もし、1日の所定労働時間が、8時間の場合、1週間に1日しか休日を与えないと、労働時間は、48時間となり法律違反となってしまいます。

となると、1日の所定労働時間が8時間の場合、法律の基準を満たすには、完全週休2日制にする必要があります。

もし、1週間に1日の休日を維持したまま、労働基準法の基準を満たそうとすると、1日の所定労働時間を、6時間40分以内にする必要があります。

パートタイマーやアルバイトだけの職場なら、1日の所定労働時間を6時間40分以内とすることも可能ですが、通常の正社員を雇用している企業では、正社員の所定労働時間が、1日の6時間40分というのは、通常、考えられないと言えます。

しかし、多くの中小企業にとって、完全週休2日制度を導入するのも困難な実情もあります。

そのため、労働基準法では、変形労働時間制度を規定しています。

これは、一定期間を平均して週の労働時間を法定労働時間内に収めようとする制度で、代表的なものとしては、1ヶ月単位の変形労働時間制と1年単位の変形労働時間制があります。

1ヶ月単位の変形労働時間制は、1ヶ月を平均して週の労働時間を40時間以内にするものです。

例えば、1ヶ月のうち、第1週と第4週の労働時間が、44時間であっても、第2週と第3週の労働時間を36時間以内に収めれば、平均では、週の労働時間は、40時間となります。

それに対して、1年単位の変形労働時間制は、1年を平均して、週の労働時間を法定労働時間内に収めるものです。

各制度の詳細については、ここでは割愛させていただきますので、詳細につきましてはこちらのブログをお読み下さい。

ところで、変形労働時間制を導入するには、いくつかのルールがあります。

1ヶ月単位の変形労働時間制を導入するには、就業規則にその旨を規定するか、労働者代表との書面による協定書を締結して、管轄の労働基準監督署に届出る必要があります。

それに対して、1年単位の変形労働時間制は、就業規則に規定することで、制度導入することはできず、労働者代表との書面による協定書を締結して、管轄の労働基準監督署に届出る必要があります。

就業規則を作成する場合、当然ですが、労働基準法等の法律の基準を満たす必要があります。

その中で、労働時間と休日は、最も重要な事項となります。

1ヶ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制いずれを導入する場合でも、その旨を就業規則に記載する必要があります。

しかし、1年単位の変形労働時間制を導入する場合には、それとは別に、労働者代表との書面による協定書を締結して、管轄の労働基準監督署に届出る必要があるので、その点は、注意する必要があります。

 

就業規則の変更の方法について

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ここでは、実際に就業規則を変更する方法についてご説明したいと思います。

就業規則を変更する場合には、就業規則を全面的に改正する場合と就業規則の中の特定の条文を変更又は追加する場合の2つのパターンが考えられます。

全面改定は、何年かに一度、就業規則を全体を見直す場合などに行わるもので、就業規則を新たに作成する場合と同じイメージとなります。

それに対して、就業規則の特定の条文の変更又は追加は、法律改正があった場合や新たな手当を支給する場合等に行われます。

この場合、変更されるのは特定の条文だけで、後の条文は現状のままとなります。

ですから、このような場合には、変更する条文だけを抜き出して、変更前と変更後を記載して就業規則を変更する形式が一般的です。

ただ、法律は頻繁に改正されるため、このような形式で就業規則の変更を行っていくと、変更部分の枚数が多くなってしまい、分かり難い就業規則となってしまうため、ある程度の回数変更を行ったら、全面改定と同じようにこれまで変更箇所を網羅して、就業規則そのものを作成し直した方が良いでしょう。

 

本日もお読みいただきましてありがとうございます。
社会保険労務士 松本 容昌

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